7月27日（月）快晴

 

　7時半まで6時間、ぐっすり眠る。ありがたい。

　8時にアンナを起こす。昨夜、「明日はやることたくさん、起こしてね」と言っていたので。足と背中のマッサージをすると寝入ったみたい。9時に再び起こす。「ダンケ」とアンナ。

　4匹めのグリグリがかかる。4日まえ、3日まえと捕獲器の整備不良で逃げられ、一昨晩は、夕食後にくつろいでいると家の裏でガラガラガラとすごい音。駆けつけてみると、軒下に設置してある捕獲器が、脚立にぶつかりながら苔の生えた地面まで落下したところ。蓋が外れていて、グリグリは逃走した後であった。3度とも同じグリグリだとすると、脱走の常習犯がようやくお縄を頂戴してくれたことになる。どんな凄いやつかと見ると、至って普通のルックス。でも捕獲器の内部で暴れて軒下から落下させるぐらいのパワーはあるわけで、内側の金属製リングが外れている。いつものように夕方の引っ越しまでガラージで昼寝していてもらおう。

　9時半からヨガニドラとヨガ。昨日アンナがウィーンの学生時代に使っていたというマットを出してきたので、彼女はそれを使う。「どうして今まで気がつかなかったのかな、これ使ったら、ヨガがすごい楽！」今まで、二人とも板張りの床の上に敷いたござの上でヨガをやってきたのだ。足の甲や膝下の皮膚が角質化するほどだったのだから、これは画期的。私も試させてもらったが、気持ち良くてこれは昼寝に重宝しそう。昼寝もござに直接寝転がっていたのだから（7月17日付）。

　今日はハラインのヴェジタリアンキャフェで遅めのレイジーなランチを取る予定でいた。妊娠してからというもの、イケアのキャフェテリア以外、外食したことがないのだ。初期はつわりでそれどころじゃなかったし、一番出掛けたい時期にはコロナのために飲食店が閉まっていたからだ。コロナの規制が緩む頃には、家の改装やら庭仕事やらで大童になっていて、とてもそんな余裕がなかった。最後のチャンスとばかり、今日出かけようと考えたわけだ。お昼過ぎてから念のために開店時間を調べてみたら、フードのラストオーダーは13時！アンナに「パン・キャフェのキッチン1時で閉まっちゃうみたいだ」と言うと、「ちょうど私も見ていたとこ。今からじゃ間に合わないわ」「仕方ないな、明日にするか」。

　昼食前、アンナはエントランスホールのドアをクリーンしてラッカー塗りの準備。私は書き物。

　先日のキャスティングは不採用。これはある程度予想できたが。

　午後、私は冷蔵庫のフリーザーの霜取り。買ってから2ヶ月しかならないのに、もう霜が一杯で、どうやらこれが原因で冷蔵庫の温度が充分に下がらないのだ。細い管などが多く、先代の冷蔵庫よりも手間がかかる。旧冷蔵庫（6月4日付）は一年以上霜取りしなくても平気平然、トラブルフリーな優等生だったのだが。

　アンナはまずは窓の拭き掃除。旧式な二重窓だから、拭くガラスはひとつの窓に4面。リビングの窓を拭きながら、「この窓枠もラッカー塗った方がいいかしら？」「うーん、至上命題じゃないと思うけど」「どうせならやるわ」。すぐに下塗りにかかる。

　そのアンナ、トイレに行ったら、ゼリーみたいなものが出たと言う。日本で言ういわゆる「おしるし」だろうか？

　私は出産プール用のポンプのテスト。先日、ホームセンターでこれに使うチューブを見たが、適当なのが見つからず、逆にうちの有り合わせので試すことにしたのだ。結果は成功。一式を洗う。

　夕刻、グリグリの引っ越し。この脱走常習犯は匂いを嗅いでから、ためらわずに捕獲器からシャバに出たが、その場所から動かない。久しぶりの外の空気をエンジョイしているらしい彼をそのままにして、我々は暑さの少し和らいだ夕暮れを楽しみながら帰宅。

　アンナはペンキ作業継続、私は夕食の準備。ソバの実を炊き、庭のズッキーニとトウフのグリル。準備が出来たのでアンナを呼ぶ。テーブルについた彼女、深刻な表情で、「時間がないわ、やることがたくさんありすぎて」。このふた月ほど、何度この台詞を聞いたことだろう。緊急のプロジェクトリストを作ることを示唆するが、「リストを作る時間ももったいないわ、作るんだったらあなた勝手に作ったら？」一理はあるので、明日のパン・キャフェでのランチを取りやめることを提案する。5分ほどでさっさと食べ終えた彼女、ペンキ作業に戻って行った。

　食後、私も予定を変更して、バスタブや洗面台のクリーニング。ベッドルームの掃除機がけ。階下に降りてくると、「トイレのドア、何色にしたらいい？」。赤、と言うと、「だってあなた、ラッカー買うときにトイレに赤はダメって言ったじゃない」。確かにそうだ。「明日買いに行こうか」「そんな暇ないわ」。そういっても手持のラッカーは黒と淡いコーヒー色しかないのだ。「困ったな、じゃあコーヒー色にしたら？」。

　私は『催眠出産』の「出産の脚本」のチャプターを自動翻訳で英訳して読み始める。大いに参考になる。

　就寝前、またトイレでゼリー状のものが出たと言うので、日本語妊娠サイトで「おしるし」を調べて英語で説明すると、アンナ、少し落ち着いてくる。足、続いて背中のマッサージをやっていると「一日のうちで一番お気に入りの時間。これやって貰えるならずっと妊娠していたいわ」。波乱万丈の一日が、何とかハッピーエンドで暮れて行った。