7月26日(日)くもり時々雨、涼しい

 

 6時過ぎに目覚めると、アンナも目を開ける。このまま起きようかと思うが、「疲れた顔してるわ。寝た方がいいんじゃない?ニドラのエクソサイズでもやったらどう」と言われ、素直にそれに従うと寝入れた。アンナがアシスタントになってギリシャで撮影をしている夢を見る。テレビのインタビューがあり、話しているとだんだん声が出なくなってきて、アンナに代わりに喋ってもらう。別のシーンでは私はなぜか刑事で、もう子供になったサニーを私のデスクに連れて行く。支離滅裂だが、面白い。私は日頃から、よく夢を見る。このところは眠りが深かったせいか、しばらく夢を見なかったので、久々の感がする。

 8時過ぎに再び起きると、アンナは6時に目覚めてそのまま『催眠出産』の Podcast を聴いていたのだと言う。腰に痛みがあるというのでマッサージ。「この前もあったけど、筋肉痛じゃなくて、ガスかもしれない」とアンナ。

 昨日に続いて涼しい。「宮崎の『風立ちぬ』に出てきた戦前の軽井沢は避暑地だったけど、こんな気候だったのかも」と言うと、「この辺も戦前は典型的な避暑地だったわ」。そういえば確かに。若き日のマーラーはアッター湖畔、晩年のブラームスはバートイシュルで夏を過ごし、お互いの交流もあったという。クリムトはここから遠くないゴーリングに逗留して、近くのエゲル湖で描いた『池の朝』を残している。

 さて、アンナは足マッサージの途中でいびきをかき始める。彼女が起きてきたのはお昼まえ。お腹がすいているというので、今日は特別にヨガなしで昼食に。

 サラダにはカプチーネクレッセの花、ピーマン、レッドビーンズのトッピング。粟を炊いて、アボカド半分と庭のトマトをひとつづつ、それに庭のキュウリを添える。このキュウリが甘くて旨い。

 午後、私は最後まで鉢植えで残ったズッキーニを、ガラージ裏のカラバサの並びに植える。この地区の管理は、成り行きで私に任される格好になった。カラバサ同様、フェンスにズッキーニを登らせ、這わせる計画。アンナの話ではズッキーニもこれが可能だという。鉢植えが乾いているので、水をやってから植えかえしようとしたら、「あなた、そんなことよく識ってるわね」とアンナ。「君の見よう見まねさ」と答えるが、これは本当。不束な弟子だが、彼女のやり方を少しづつ真似しているのだ。「あなたも少し庭仕事がわかってきたわね」と感心される。ナメクジの多いエリアなので、カラバサの時と同様、銅テープの保護枠を使う。なんとか格好になった。

 一方アンナはトイレのドアフレームのプライマー塗り。下塗りだけでも随分印象が変わって良くなる。「きれいになったねー」と感心していると、どうしたはずみか、この塗りたてフレームに寄りかかってしまった。「あなた、シャツとジーンズに筋ついてるわよ。塗りたてだって、よっぽど言おうかと思ったのだけど」。シャツもジーンズもお気に入りのものだ。「とにかく脱いで!すぐに水につけなきゃ」。そしてブラシで洗うことを指示される。水だけで落ちるのか心配だったが、とにかくパンツ一丁になってゴシゴシやっていると色がだんだん取れてきて、本当に落ちてしまった。「水だけで落ちるなんてよく識っていたね」と感心すると、「説明にそう書いてあっただけよ」。

 夕食まえ、自転車でザルツァック川沿いの自転車/歩行者道をハラインのダムまで。「上流の山の方、雨降っているわ」「ゴーリングの方だね」。彼方の山あいが雨に煙るのを眺めながら、芸術の巨匠たちがこの地方で過ごした、古き良き日の夏に想いを馳せた。


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