7月23日(木)朝、雷雨、のち雨
昼食時の会話:「出産の準備、エコじゃないわ。こんなつもりじゃなかったのに、プラスティックばっかり」「そうだね、マットレスの保護カヴァーも、紙おむつもプラだ」「出産用の子供プールも、洗濯物のバスケットもバケツも」「このシステムに対抗しようとすると相当な労力と費用がかかってしまう」「仕方ないのかなあ」。
午後、アンナは布地などの整理、断捨離。私は領事館に提出する書類に記入してスキャン、メイル書く。
食器棚の下部に入れてあるプリンターを出すと、木粉が積もっている。古い家具だから、虫喰いだろうか。南仏に住んでいた時はずいぶん家具を虫に喰われたがここでも?アンナと二人でライトで照らして内部を見るが、虫喰いの穴は見あたらず。何と、引き出しを支える角材が引き出しの重さに耐えかねて少しずつ削られているのだった。何せ、アンナのおばあちゃんの家から来たという家具なのだ。鉛筆で書かれた三桁の電話番号と旧い書体の誰かの名前が残されている。家族伝来にして明らかに戦前のもの。これは明日にでも蝋を塗ることにしよう。
夕刻、庭に出ていたアンナ、「ちょっと見に来て!」と駆け込んでくる。外に出て空を見上げると、濡れた和紙に墨で描いたような二条の線が淡く滲んで消えながら南に運ばれて行くところだった。両腕を水平に突き出して「こういう飛行機が線を引きながら飛んで行ったの」とアンナ。その仕草とまだ聞こえているエンジン音からセスナ機かなと憶測する。機体そのものは見損なったが、その翼跡は抽象アートのようで、しかもエフェメールで、これを見れたことを僥倖に思った。