7月4日(土)晴れ
目覚めるとアンナが横にいない。階下に行くと、ベッドが固くて狭くて寝られなかったのだと言う。そして、私が実際の出産そのものについて何の知識もなく、サニーのための買い物のサーチもやらないで、あなた任せにしている、と指摘される。なるほど。これでは全責任が彼女に掛かっているように感じても仕方がない。
さっそくウィルハーベンというフリマアプリを教えてもらい、これでベイビーベッドを探す。ザルツブルク市内に、ちょうど我々のニーズに合うものを見つける。15ユーロ也。アンナと相談して連絡を取ってもらい、午後、取りに行くことに。
カラヤンゆかりの地アニフを抜け、ヘルブルン庭園を掠めて旧市街に出るルートはハラインとザルツブルクを結ぶ旧街道。アンナが近代美術館で仕事をしていた頃は、いつも車で送り迎えしていた彼女の通勤ルートでもある。ここを走るのはコロナ以来久しぶり。売り主の女性はナイスで、10ユーロに値引きしてくれる。市販のベイビーベッドの柵を片側だけに改造したもので、木ネジが飛び出ている場所があるけれど、充分使える。帰宅して昼食。
午後は、アンナは昼寝。私は書き物。
夕刻、昨日に引き続いて草引き。ガラージ裏がかなりきれいになった。昨日のマダニの教訓から、すぐにシャワーを浴び、アンナにボディチェックをしてもらう。
夕食後、予定表を見ようとして今日がアメリカの独立記念日であることに気づく。「星条旗よ永遠なれ」が聴きたくなり、 Youtube で探すとバーンスタインが指揮した映像が出てきた。テキサスに住んでいた頃、ダラス・ウインドシンフォニーというプロのウインドオーケストラがあり、そのコントラバス奏者であった私は、この曲をしばしば弾いたものだ。何度弾いても楽しい曲で、今でもベースのパート譜を憶えている程。私はこの曲が象徴するような愛国心からは程遠かったが、当時はアメリカ人になることを考えていた。アンナにダラスの思い出など語りながら、20代後半を彼の国で過ごせたことは幸せであったと、感謝の気持ちで一杯になった。
