6月19日(金)パリ、晴れ時々曇り
9時半に出て、エレキベースをかついで親友のディエゴ宅へ(3月25日付)。彼はパリ東郊に住んでいて、会うのは4ヶ月振り。コロナは落ち着いて来ているとはいえ、半分冗談で肘を突き合わせて挨拶。奥さんのクリスティーヌは危うく、いつもどおりに挨拶しかけて笑う。こじんまりとした庭が心地よく、木蔭でコーヒーを頂く。禁足令の間、彼は毎晩8時、通り側の窓を開けて、近所の人たちのエンターテインメントに生演奏をしていたのだという。ラヴェルのボレロをアレンジして伴奏を録音しておき、楽器を取っ替え引っ替え演ったりしたと言う。彼はマルチプレイヤーなのだ。音楽院とか正式の音楽教育を受けていない「叩き上げ」ミュージシャンの彼は、ヴィヴァルディのダブルトランペットコンチェルトを勉強したり、声優として自宅スタジオを使って録音したり、この期間を有効にクリエーティブに過ごしたわけだ。
彼の新作(これもコロナ期のもの)を聞かせてもらい、まずベースラインを録音する。私のエレキベースは旧いヤマハの五絃、かれこれ20年以上前にニースの楽器屋で中古で買った物だ。触るのは半年振りだがすぐに調子を取り戻す。元来、真剣に取り組んだことのない楽器で、失うべきテクニックもない分、回復も早いわけだ。ベースラインのあとは曲の構成を少し。歌詞をつけるのは次回に持ち越し。昼食を庭で呼ばれてから辞して帰宅。
セーターを裁縫屋からピックアップ、おっちゃんは不在だったが奥さんがだいぶん探して見つけてくれた。見ると昨日私が「寄贈」したジャケットがいくつか、すでに吊してある。良かったなあ、誰かに使って貰えるとしたら。
アンナは展示会に作品を持ち込んだとのこと。主催者ほか数人のアーティストが彼女の版画をとても気に入ってくれたと言う。嬉しいことだ。
Eさんと我々贔屓の韓国料理屋「キムチ」で夕食。この店のシェフ影山さんには、もうかれこれ20数年来懇意にしていただいている。氏はもともとフランス料理を勉強した人で料理人仲間の間でもテクニシャンで知られているらしい。パリ市長のコロナ対策で歩道や駐車スペースにテーブルを出しても良いこと(黙認?)になったので、珍しくも屋外バーベキューとなった。もっとも私は豆腐チゲを頂く。というのも、ここのブイヨンは牛の筋肉から取った本格派、スープ好きの私にはこたえられない。Eさんは半分牛、半分豚の焼肉。これは新メニュー。屋外のテーブルは埋まっている。突然、シャボン玉がふわっと降りて来て目の前で弾ける。見上げると二軒隣のビルの階上で子供たちが楽しそうに吹いているのだった。
帰宅してアンナと電話。展示会に作品の運び込みを終えて、相当ホッとしたらしい。「サニーも協力してくれたみたい。ちょっと寝不足で疲れたかもしれないけれど」。今晩も電話口でサニーに語りかけてから寝床に。私も安らかに眠りに落ちた。

