6月16日(火)曇り



 今朝も7時過ぎに小包配達。足マッサージ。8時ごろより二人とも起きて朝食。アンナは朝から元気でさっそく制作。私は玄米リゾットを作る。階下で荷造りをしていると、作品のフィードバックを求められる。弁当を詰めて荷造り完了。

 別れを惜しみながら11時過ぎに出発。

 中央駅行きのバス、久方ぶりの公共交通機関だ。皆がマスクをしている以外は普段と変わりなし。逆に中央駅では人の少なさが目につく。構内にあるスーパーなど、いつもごった返しているのが嘘のよう。ミュンヘンまでの快速列車も混んでいない。発車すぐに検札があり、あっけなく国境を越える。ドイツ側のフライラシングで停車中に警官が乗り込み、巡回だけして降りて行った。一昨日まではこう簡単にはいかなかっただろう。さっそくお昼にする。今朝炊いた玄米だからまだ温かくて正解。ちょっと塩味が薄かったかな。

 ミュンヘンで乗り継いだインターシティも空いていて、シュトゥットガルトまでコンパートメントに一人。車中、書き物捗る。シュトゥットガルトでは定時になっても発車しない。DB(ドイツ鉄道)のアプリで見ると、線路内に人が立ち入ったとのこと。結局遅れは徐々に拡大し、カールスルーエに着く頃には、アプリにも「接続列車は待ちません」と表示される。車内放送が入り、パリ行きの乗客は案内所へ、と言う。案内所は長蛇の列。少なくとも50人くらいの旅行者が乗り継げなかったようだ。しかも乗り損ねた列車は今日の最終。かくしてハプニングでカールスルーエ泊まりとなった。ホテルはDB持ちだから良しとしよう。

 カールスルーエの駅前に出るのは初めてだ、何十遍となく列車で通過してはいるけれど。父が「放射状の計画都市だぞ」と言っていたのを憶えている。父も何かの学会で来たことがあったのかも知れない。

 駅からすぐのホテルにチェックインしてから地図を見ると、駅は放射状の部分から少し距離がある。放射の円心にある城から遠くないところにファラフェルの店があるのでそこまで散歩を兼ねて歩いてゆく。幸い好天だ。近代的なトラムウェイが縦横に走る緑豊かな街路は、鉄道マニアにとってはそれだけで楽しい。小公園を歩いてゆくと、ベンチで簡単ピクニック中の若いカップルや、南フランス流のペタンクに興じるおっちゃんたち、卓球に夢中なティーンの女の子など、それぞれにこの穏やかな黄昏を楽しんでいる。こちらまでのんびりした気分になる。ファラフェルの店はテイクアウト中心のカジュアルな店。でかい「スペシャル」が5ユーロ、これを持ち帰りにする。市電が走るホコ天のカイザー通りには、そこここにテーブルが出て、市民が飲み物や軽食を嗜んでいる。排ガスを出さない電車が、歩行者や飲食者と見事に共存しているのが印象的だ。マルクト広場から城の遠望を垣間見たあと、満ち足りた気分で宿に戻ったのであった。

 アンナとチャット。昨晩、寝際にリラクセーションメソッドをした際にこれを録音したので、彼女に送る。充分使用に耐えるようだ。アンナの話では、私の声の録音を聴かせたら、一日中比較的静かだったサニーが動き出したとのこと。私の声を聞き分けているのだとしたら、やっぱり嬉しい。



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