5月17日(日)晴れ、午前中は少し霞かかる


 「アトリエの前のバルコニーにバラが咲いたわ!」アンナが階上から呼ぶので行ってみると、今年最初の一輪。バラといっても、いわゆる野ばら。一重の花びらが清楚な感じを与える。なるほどゲーテが詩に書き、のちにシューベルトはじめとする作曲家が歌にしたのも、この可憐さに若き乙女を想起したのではなかろうか。もっとも、ゲーテは「赤い」ばらと詠んでいるから、うちのやつとは少し感じが違うかもしれない。園芸種のバラと違い短命で、この季節一斉に開花すると間も無く散ってゆく。うちの庭ではどういうわけかコンクリートブロックの境目から芽を出して来る。これをバルコニーに導いたのは数年前、私の初めての園芸プロジェクトであった。二階の部屋からも、階下の窓からも、毎年この時期に我々の目を楽しませてくれている。
 ヨガのあとに、「今日は日曜日。パンケーキ作ってくれない?午後でもいいけど」と言ったら、「先週日曜もそう言ってたら結局作らなかったわ。今から作る」。ということで嬉しい朝ごはんになった。蜂蜜を切らしているので、昨日も書いたいちごのジャムとココナツミルクヨーグルトで頂く。私のパンケーキ好きは小さい頃のホットケーキに原点があるのだろう。70年前後、ホットケーキミックスはすでにあったと思うけれど、自宅で作ってもらっても何となくハイカラな、よそ行きな感じがした。ましてデパート最上階のレストランや、ペコちゃんの不二家で時折食べるそれは、極上の美味に思えたものだ。
 いつものように午前中、アンナは庭仕事、私は書き物。昼食前には脱稿。食後に裏庭に出てプルーフリーディング。
 午後はトイレのペンキ準備。夕刻、アンナがヴェルヴェンヌ(410日付)を鉢から庭に移し替えるのを手伝う。秋にまた鉢に移さないといけないが、実験なのだそう。前回の収穫からまた育ったほうれん草を摘む。アンナによれば、もう花が咲きかけているので、おそらく今シーズン最後。
 夕食まえ、昨日のコースを自転車で行く。見たことのない美しいライトグリーンの虫が二羽、袖に止まっているので写真を撮ろうと止まる。「あそこの陽があたっているとこまで行ってるわ」とアンナ。振り向くと二羽のうちの大きかった方はもういなくなっていた。アンナに追いついてみたら、ちょうど林の途切れめから、ウンタースベルグに夕陽が沈むところであった。

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