5月16日(土)雲そこここに浮かぶ快晴、のちくもり


 陽が射しこんで隣の部屋から敷居を越えてベッドルームまで届いている。
 アンナ、早朝にお手洗いに立って以来、寝直せなかったとのこと。サニーは今朝も活動的という。それは嬉しいのだが、母親にも休んでもらわないと、というわけで、少し朝寝してもらう。
 お茶を淹れ、掃き掃除のあと、何日かぶりでトマトの苗を外に出す。ミニとマックス(4月4日付)は窓際でしきりに太陽を求めていたらしく、背中を曲げたような格好。太陽と反対の方向にむけて向けておけば、向き直ってくれるだろう。
 ヨガの間、アンナ、ありがたいことに痛みはなかったとのこと。私の足の爪を見て、「この前、オイル塗ってからずっと良くなったわね」。ひと月ほど前に日なたで朝食を摂っていたときに、私の足の爪が醜い状況になっているのを見て、オイルでトリートメントをすることを彼女から教わったのだ。足の爪のケアなんて人生で一度も考えたことなかったから、これは青天の霹靂であった。彼女自家製のカレンデュラオイルを塗っただけで、見違えるようになった。隔週ぐらいにしかこのケアをしていないにもかかわらず、効果が持続するのは驚き。
 水やりをしていたアンナが、「ミニとマックス、弱っていたから日陰に入れたわ。ちゃんと水やりしなくちゃ、土が乾いていたのよ」。そうか、背を曲げているように見えたのはそういうことだったのか。
 やや遅くなったのでそのままお昼ごはん。サラダに庭からのサニーレタスの初もの、ラディッシュも加わって、豪華。
 午後書き物継続、夕刻一人で買い物。アンナは制作と庭。
 夕食の準備をしてから、歩きに出る。ザルツァック川沿いを行く。アンナ元気で良いペース。妙なことに、彼女ではなく私の右ふくらはぎがつりそうになり、ストレッチしたら、それで収まってくれた。戻ってきてミニとマックスを見てみたら、ちゃんとまっすぐになっていた。アンナに深謝。
 夕食後、思いつきでピアノの蓋を開けて弾いてみる。目から鱗とはこのことか、全く違う楽器になってしまった。ダイナミックスレンジが広がって強弱のメリハリがつけられるのはもちろん、細かいニュアンスが「手に取るように」出来る、といっても私の限られたテクの範囲だが。あまりの違いに指遣いを忘れてしまうほど。ピアノを弾かれる方には、お前馬鹿かと呆れられるに違いない。
 このミニグランドを持って20年近く、南仏の家でもザルツブルクでも、蓋をしたままで弾いてきた。特にこの家では、コントラバスの弓などのアクセサリーや楽譜に始まり、本やノート、その他もろもろのガラクタがピアノの上に堆積して、物置状態になっていた。ということは、蓋の上にさらに弱音器を付けているのと同等の効果を引き起こしていたのだろう。リビングのペンキ作業のために、これらを片付けたので蓋を開ける気になったのだから、何が幸いするかわからない。
 足の爪にしろ、ピアノにしろ、「ユリイカ!」という出来事があると嬉しくなってしまう。そう考えると今まで無知でいたのも悪くはなかったか。

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