5月13日(木)曇り、時々陽が射す


 アンナ、6時過ぎにサニーの激しい胎動で目覚めたとのこと。二人して7時前に起きる。
 ヨガの最中、アンナ、横になる。後から訊いたら、めまいがしたのだそうだ。その間もサニー、活発に動いているとのこと。論理的に考えれば、胎動が激しければサニーもそれだけ酸素が必要になるから、血液中の酸素がそちらに行ってしまうのでは?それに今朝は室温も低い。私は私で、ヨガ前半、突然パリのアパートの保険を払ってあったかどうか心配になる。確か自動振り込みのはずだけれどしばらく集中出来ず。こういう日もある。
 やはり肌寒いので朝食後、アンナ、ダイニングのストーブに火を入れる。うちには暖炉はないが、この薪焚きのストーブがあり、集中暖房がオフになっている季節の変わり目に重宝している。燃料はトネリコを伐った薪で家の前に積んであり、基本的にお金がかからないのも魅力。ちょっとレトロなスタイル、伝統あるドイツのAEGの製品。私は鉄道ファンだから、AEGと聞くとドイツ製の古い電気機関車を思い起こしてしまうのだが、社名の E (Elektrizität=電気) とは無関係のこんなストーブも作っていたのだ。恐らくこの家が建った1950年代からずっとここで使われているのだろう。簡単な構造だが、よく出来ていてすぐに温まる。ダイニングのドアを開けておくと、階上も多少暖まる。ストーブの上では簡単な料理もできるので、私はコーヒーを淹れることにする。
 アンナによると、例年5月中旬に寒の戻りがあり、「氷の聖人たち」と呼ばれているのだそう。オーストリアや南ドイツでは512から15日の4日間、それぞれの日に聖人の名前がついている。今年は見事にそれが的中したことになる。冷気に弱い作物の植え付けはこれをやり過ごしてから、というのが常識らしく、彼女もキュウリ、ズッキーニ、カボチャや豆類はこれが済んで暖かくなったら植えるとのこと。
 暖まった部屋で私はコーヒーを嗜みながら書き物、アンナはアトリエで制作。
 午後、私はリビングのペンキ塗り準備、アンナは寝室のコーナー、ラッカーで仕上げ。この一角が見違えるようになった。
 夕食前、降りてきたアンナ、サニーが相変わらず元気に胎動しているという。お腹に手を置いて、サニーに話しかける。ふと思いついて日本の歌を歌う。まず、「うさぎとかめ」。2番までしか思い出せないのでリピート。次いで「証城寺のたぬきばやし」。趣味が古いねえ。「ぽんぽこぽんのぽん」と歌い終えたら、サニーが「ポン」と次の強拍に一打撃()。まさかもう一度歌い、歌い終えると同じように「ポン」。インテンポで来たのは偶然かもしれないが、歌に反応しているのは確かみたい。アンナと二人、ちょっと嬉しくなった。

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