4月30日(木)朝晴れ、のち曇り、夜雨


 昨日発見した鳥の巣に母親鳥が座りこんで抱卵しているのが見える。黄色い嘴に茶色っぽい体、軒下の影になるので、地上からは良く見えないが、それだけに鮮やかな嘴の色彩が目を惹く。首をやや持ち上げて動かない様子はユーモラスでもある。ウタドリだろうか?
 アンナは起きてすぐ、左大腿部に筋肉痛がある、昨日の散歩のせいだろうかと言っていたが、ヨガの最中、いくつかのポーズで昨日から利き足でない方を訓練しているためではないか、と気が付いたという。ヨガ自体は痛みもなく出来たとのこと。
 どういうわけか、くしゃみが出て、鼻水が止まらない。アンナも少し鼻がおかしい、という。風邪をひいた症状はないから、花粉じゃあないかと思う。というのもこのところ、そこいらじゅうが花粉で覆われている。愛車のゴースティも、花粉が積もって塗色が変わったかのようなのだ。私はラッキーなことに今まで花粉症にかかったことがない。十数年前、一度だけ春の盛りにアヴィニョンへ仕事で行った時に、くしゃみが止まらなくて困ったことがあったけれど。今宵は雨になるというから、花粉も流されて収まってくれるのではないか。
 アンナが母鳥が巣から飛び立つのを見たという。ウタドリほどは大きくなかったという。
 昨日、助産婦ののマグダレーナの電話以来、出産が急に現実味を帯びてきたように感じる。あと3ヶ月でサニーが我々の生活に飛び込んでくるのだ。昼食後、今まであまり話さなかった法的なことなどを話す。
 ピアノで久々にモーツァルトのソナタを弾く。ハ長調のケッフェル545といえば、ソナティネアルバムに入っていることもあり、世界中で小学生でも弾く子がたくさんいることと思う。実際私も中学の頃に習ったと思う。これを今になってやり直してみると、実に面白い。私の錆びついたテクニックのサビ取りにも効果がある。不思議なのは何十年前かに身についた自分勝手な変則的指使いやフレージングを体が憶えていることだ。譜面に立ち返ってこれを矯正するのも興味深い。存外に後期の作品だからモーツァルトがこの曲を書いたのはウィーンだと思うけれど、彼の出生の地から11キロの我が家でこれを弾くのも一興だ。それに生まれてくるサニーは半分オーストリアの血が入っているのだから、これをお腹の中で聴いてもらうのは、歌舞伎「勧進帳」の寄せの合方を聴かせるのと同様の意味があるだろう。

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