5月11日(月)くもりのち晴れ、のち雷雨


 ゆうべ遅くなったので、少しゆっくりめに起床。
 ヨガのあと伸びていた髭をのんびり剃る。昼食までに草稿脱稿、アンナは階上のアトリエで制作。
 午後、天気が良いのでハラインまで自転車で出ようということに。プリンターのカートリッジも買わないと。助産婦さんの契約書などを印刷して明日のアポイントに持って行くので。
 ご贔屓のアイスクリームショップ、「ドロミティ」に寄る。例年のイタリア人のおばさんが戻ってきていて、相変わらず機嫌よく、とろりとしたやつをコーンに盛ってくれる。我々のお気に入りはピスタチオ。今日のチョイスはこれに加えてアンナはマルチパン、私はクルミ。この大盛りが二人で5ユーロ20。おそらくパリの半額ではないか?ビジネスマン風の男の人が一人で入って来て、嬉しそうにオーダーしている。おばさんが、「アイス」と書かれた旗を取り込みながら「嵐が来るよ」と言う。「私はもう少し後だと思うけど」と言ってドロミティを後にする。
 旧市街を歩いて行くと、大人も子供もアイスクリームを嗜んでいる人がたくさん。ハラインの中心部にはアイスクリーム屋が二軒あって、観光客の少ない街にも関わらず、どちらも常に流行っている、つまり地元客で賑わっているわけだ。アイスクリームはオーストリアの食文化の一つだと思う。恐らくイタリーの一部がかつてオーストリア領であったことと関係しているのではないか。その意味ではふた昔まえイタリー領であったフランスのニースと似ているかも。
 ふと見上げると建物の角で聖人の像がマスクをしている。まあこれはどこの街でも似たようなことやっているのだろう。
 「ポツポツ来たわよ、それに空は雨雲であんなに真っ暗」とアンナ。「おかしいなあ、お天気レーダーでは7時前まで降らないことになってるんだけど」と言い終わらないうちに、ポツポツがバラバラになり、雷鳴が。「ごめん、これは大失策」と言いながら、アーケードに駆け込む。「あれ、レーダーの画像が突然変わった、雨上がるの40分後だ、まいったなあ」「駄目ねえ、レーダーばっかり見てて空をちっとも見ていないんだから。もういいわ、濡れてもいいから帰りましょ」ということで、自転車にまたがる。途中、橋をくぐるところで何人かの歩行者と一緒に雨宿り。「ちょっと寒いわ」、アンナの着ているのは先日も書いた麻のドレス。風通しが良すぎるのだ。私の化繊のセーターを貸して先を急ぐ。幸い我が家に戻るまでには雷も遠のき、雨脚も衰えた。一生懸命ペダルを漕いできたので、寒さに震えることもなし。助かった。
 お茶を淹れて暖まりながら、アンナは助産婦関係の書類をプリント。私は同じものを例によって自動翻訳で英語に直して読む。そして二人で内容の確認。
 昨夜半ばまで見た映画の後半を観る。今日の一般的な病院での出産が「男の視点」による能率を重視したものであり、例えば、出産直後にへその緒を切り落としたり、出産中の妊婦が仰向けの姿勢で出産することは、科学的な事象に必ずしも即していないこと。それが解っていながら、慣習に囚われるばかり、なぜかこれらの方法に固執していること。これに対して、母親たちの、また助産婦たちの積み重ねた経験や知識は、自然な出産の過程を信頼しているのと同時に、科学的な事実にもマッチしていること、さらに実際に母親と生まれてくる子供にとって、身体のためにもまた感情の面からも最良であることを教えてくれた。
 明日のアポイントの良い準備になった。



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