4月3日(金)薄曇りのちときどき陽が射す



 朝、窓を開けるとシジュウカラが巣箱に向かって飛ぶ。抱卵中の母親鳥も一日何回かは外出するという。さもなくば父親鳥が母親のためにケータリングをしているのだろう。
 アンナ、「考え直したわ、この休みをありがたいことだと考えるようにしたいと思う」。「いつも仕事しているときは休暇を待ち望んでいるのに、いざこうして休みが来てみると、お給料が減ることばっかり考えていたわ」。私にしてもそうだ。いつも何かと用事があったり、また旅をしたりしているので、こうして落ち着いてまとまった時間が取れることは、滅多にあるものではない。一つのワークショップと見做しても良いであろう。その意味でも今や日課となったヨガと瞑想は良い効果をもたらしていると思う。
 郵便受けにパッケージ。アンナのお母さんからさっそく種が届いたのだ。「もう着いたわ!」嬉しそう。
 朝食後、コーヒーを淹れたらアンナ、「うらやましいなあ。いつになったらコーヒー飲めるのかなあ」。可哀想だが、こればっかりは仕方ない。我々のチョイスなのだから。既に妊娠前から彼女はカフェインを控えていた。これは虫の知らせであったかもしれない。後で書くこともあるだろうが、今回こうした不思議な偶然がいくつかあった。コーヒーに関しては懐妊が判明する直前、バート・イシュルの居心地のいいキャフェでおいしいフェアレンガター(エスプレッソの濃くないやつ)を二人で愉しく喫したのが、彼女の最後のコーヒーになった。替わりに金沢の三味線の師匠から頂いてきた棒茶をアンナ用に淹れている。ほうじ茶はカフェイン含有量が低いというから、まあ良いのではないか。アンナはこれにライスミルクを加えて飲んでいる。百万石のお膝元では想定外の飲み方だろうが、焙じた香ばしさにライスミルクのマイルドさがマッチして存外にイケる。
 アンナは通常、何冊もの本を並行して読む。概して読むのも早いので羨しくなる。ダイニングのカウチの前に椅子を置き、ここに野菜作りや妊娠出産関係、アート関係などの本を積み上げて「ホームオフィス」と呼んでいた。今日どこからか本立て用バスケットを持って来てこれを隅の低テーブルの上に置き整頓。正式にオフィスの開設となった?
 午後、裏庭でキクイモ掘り。今晩の食事用。植物学的には芋ではなくて球根なのだが、これが深い。掘れども掘れどもまだ出てくるので驚く。結局掘りきれずに埋め戻す。それでも夕餉には充分。地表に生えていたイラクサともども収穫。イラクサはお茶にする。
 夕食前、ピアノ平均律1番、コントラバス無伴奏3番アルマンド。
 夕食は前述のキクイモ入りそばの実のリゾット風、炒めキノコ載せ、を美味しく頂く。かくしてそばの実の料理はアンナのお箱になって来た。
 アンナの話ではサニーの感触が変化して来ているという。以前は平面的だったのに、「厚み」が加わって三次元的になっているらしい。確かにお腹も日に日に膨らんで来ているから、それも道理だろう。
 パリの甘木氏より傑作なヴィデオ二篇送って頂く。内容はここでは控えるが、アンナも大爆笑で何度も観る。氏によると、皆さんお暇なので笑えるヴィデオが相当量流通しているらしい。うち一本をアンナの同僚に転送する。

 こういう時に笑うのは精神衛生上、大いに効果アリだろう。しかも、笑うことで免疫力も向上するらしい。ハハハ

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