3月29日(日)曇りしかも寒い
今日から夏時間だ!緯度の高いヨーロッパに住んでいると冬の日照時間が短かく、この日を境に日の入りが遅くなるので、春がいよいよやって来たという実感がする。昨晩の朝1時から2時にジャンプしたわけで、スマホなどは勝手に時刻変更してくれるから良いが、アナログの時計はもちろん手動。今朝もダイニングの時計、早めるのをすっかり忘れていて、まだ10時前かとノンビリしていたら、アンナに「時計直してないんじゃない?」と言われ、慌てて針を進める。
この壁時計はカスタムメイドである。というのはウソ。換気扇を取り去ったあとのデカい穴を塞ぎきれずに残っていた窪みに、厚紙製(!)の文字盤がボロボロになっていた超ローコスト時計の中身だけを取り出して掛けてある。ところがどっこい、これがなんとなくアーティスティックに見えるらしい。ある時アンナのご両親が訪ねて来られて、対面のカウチに座ったお父さんが、「あの時計、とってもいいねえ」とのたまわれたほど。
昼食前にちょっと音楽。ダイニングキッチンの隣がリビングで、ここに先日も画像をアップしたミニグランドピアノ、コントラバスなどが置いてある。ちょっとした半端な時間でもすぐ音楽ができるのはありがたい。しかも、郊外の一戸建てで、隣の家とは直に接していないし、反対側は牧草地だから、夜中でも音出しが出来るという恵まれた環境だ。その割にピアノの腕がなかなか上がらないのは、明らかに本人がサボっているからだろう。
昼食に降りて来たアンナが浮かない表情。どうしたのかと思ったら、「私、良い母親だと思う?」。「もちろん」と言うと、「ううん、良くないと思う。だって、やりたいと思ったこと、何もやってないもの。マタニティヨガだってやってないし、家の手入れだってそう。昨日だってポテトチップスたくさん食べちゃったし」と言って涙ぐむ。「自分のことを責めてるんじゃない?」と訊くと、「うん、責めちゃってる」。「それは辛いな」。私はとにかく彼女の話を聴く。結局、完璧なマタニティなんてあり得ない、完璧な出産準備なんて出来ない、だから、自分たちの不完全さを許し、でも出来るだけのことはやろう、という話に落ち着く。さっそく明日から二人でヨガをやることを提案する。
夕刻、曇天の下、散歩に行く。天候のせいか、ここ数日から一転して閑散としている。これもまた悪くない。ザルツァック川左岸を下流に向けて歩いて行くと、川の真ん中を何かが遡って来る。何かと思ったらスタンドアップパドルに仁王立ちになった兄ちゃんが、しきりにパドルで漕いでいる。バランスを崩して転落したらどうするのだろう?川岸にいる人も今日はごく少ないのだから。ちょっと気が気でなかったが、やがて引き返して来た。さすがに下りは早くて、あっという間に視界から消えた。
夕食前後、アンナは庭用の種子の整理。去年採取した草見たいのから種をとっている。「どっちかがマスタードで、もう一つがルコラなんだけど、どっちだか忘れちゃった」とか言って食べてみている。「こっち辛いからマスタード!」食べさせてもらったらほんとに辛かった。
就寝前、お腹に手を置いてサニーに話しかけていると、「ポコッ」反応あり。父親の声を聞き分けることはもうできるということだから、解っているのかも。