4月21日(火)終日快晴、やや強めの風
6時10分起床、7時半前に愛車ゴースティ号で出発。降り注ぐ春の朝の光の中を、ザルツブルク北郊の町、ランプレヒツハウゼンまでの快適なドライブ。今朝は8時に産婦人科の検診。アンナを送り届けて、私は近くのスーパーで買い物。こんな早くに買い物なんて初めてだが、7時40分から開いていることを知る。買い物の後、この町の近くのヴァイトモース自然保護区に向かう。今日の検診は2時間かかるはずなので、私はそこのパーキングで書き物でもしながらアンナを待つ予定だ。道のり半ば、アンナからメッセージ。もう終わったとのこと。あれ、ずいぶん早かったなあ、と踵を返す。
「耐糖能検査なしだったの。上手くしたら、この検査やらないでも済むかも」とアンナ嬉しそう。非常に糖度の高い液体を飲まないといけないので、彼女は前々からこの検査はやりたくないと言っていた。コロナ禍の影響による制度変更のおかげで、今日やった血液採取だけで済む可能性が高いらしい。とすればそれに越したことはない。検診は体重も血圧も全く問題なし。何より何より。
「私もヴァイトモース行きたいわ」。5分で到着。パーキングにゴースティを停め、車内で持ってきた弁当を広げ、まずは朝食。
ここヴァイトモース自然保護区に来るのは3度目だ。もともとここは泥炭の採掘が2000年まで行われていた場所で、その翌年に鳥類保護地区に指定され、さらに「野鳥のパラダイス」が整備された。初めてここを訪れたのは一昨年の夏。7月の休暇に、わざわざ人混みのする場所を旅するよりも、地元の発見に努めようと話し合った。デイトリップをいくつか企画、挙行。地元にしても余り人の来ないような場所を選んで。ここを探し出したのはアンナだ。というのも彼女は湿地帯の風景が好きで、それを目当てにやってきたわけだ。ところが嬉しいサプライズが私を待っていた。泥炭を運んでいた狭軌鉄道の跡である。私は鉄道の廃線跡を歩くのが趣味の大きな一部であって、狭軌が私を狂喜させることになった。
アンナの希望もあり、朝食を済ませてから歩くことにする。ちょっと風が冷たかったが、軌道跡に沿った一直線のダート道が林の間に入ってしまうと、風はもう気にならなかった。やがて砂利道から別れて沼地をめぐる遊歩道に入る。前回も前々回もこの沼はカモなどの水鳥で賑わっていたが、今日は彼らの姿が見えない。アンナが言うように、ちょうど繁殖期のはずだから、葦の間に営巣しているのであろうか。と思うや、クヮーという鋭い鳴き声。我々の出現に警戒信号を発したのであろう。あとは風の音だけの静けさに戻った。「古池や」の芭蕉ではないが、この鳴き声のおかげでこの場所の静寂を悟らされた格好だ。
散策路の一番奥に野鳥観察のためのタワーがあり、登る。残念ながら無料の望遠鏡は修理中だったが、さらに奥の沼沢地の果てに鳥たちが群れて舞っているのが遠望される。「鳴き声が聞こえる!」とアンナ。彼らの鳴き声がクラスターとなって、はるかに沼を渡ってくるのであった。大方の鳥たちは繁殖のため、人がやって来ない一番奥の区域に集結しているようであった。
まっすぐの道を戻ってくる。と、アンナが、「見てあそこ、鳥の巣だわ」。みると針葉樹の梢近く、かなり大きめの鳥の巣がある。アンナはそこから親鳥が飛び立つのを見たらしい。
帰路につく。コロナ禍以来、これだけの「遠出」は初めてだったこともあり、満ち足りた気分でこの自然保護区を後にした。
うちの近くのスーパーで小買い物。「これ見て」とアンナ。牛乳の代わりにココナッツミルクを使ったストロベリーアイスクリーム。帰り着くと彼女はこれをひとパック平らげてしまった。耐糖能検査の甘い液とは別のカテゴリーになるらしい。私好物のペイストリー、シュネッケも買ってきてくれたことを、彼女の名誉のために書き加えておこう。