6月13日(土)快晴



 7時すぎの小包配達で起こされ、そのまま起きる。アンナの説によれば、出勤前の人を狙って朝早くに配達するのじゃないかというのだが、だとすると配達員の人たちは、朝の一時間半ほどだけ仕事をしているのだろうか。届いたのはマタニティ用パジャマ。「パジャマ買うのなんて生まれて初めて。年じゅうパジャマ着ているあなたの影響よ」とアンナ。

 窓を開けると今朝もすがすがしい空気がうれしい。足マッサージをしながら「このところレギュラーの鳥たちを見かけないね」と言う。程なくして、特徴的なシジュウカラの声、続いて黒ウタドリがガラージの屋根に登場。それだけで嬉しくなる。繁殖期が終わっても、やはり彼らはテリトリーに留まっているのだろう。

 突然、税金の申告をしていなかったことを思い出し、ちょっと慌てる。のどかに鳥たちのことを考えていたときに、なぜ脈略もなしに味気もないことが念頭に浮かぶのかはミステリーだ。寸刻を惜しんで階下に降り、申告をする。幸い税務署のサイトは開いており、簡単に手続きが済んだ。終わってから調べてみると、本来の締め切りは2日前。恐らく猶予期間があるのだろうが、危いところだった。

 午後、外は暑いぐらいなので、森へ歩きに行く。我々にとっての森とは裏山のこと。登りはややきついが、良い運動になるし、なんといっても木樹のおかげで涼しくて心地よい。クマニラが旬の頃は毎日のように来ていたが、それ以来久しぶり。そのクマニラの植生地のあたりまで行って引き返すつもりでいたのだが、アンナはその先も率先して登って行く。上を通っている林道まで出るつもりなのだろう。彼女が元気なのは何よりだからついて行く。「あっ、カエルがいるわ!」「どこどこ?」「ほらそこ」。指差されても見当たらない。その時、ピョン。カエルが跳んで初めてわかった。見事な保護色だ。自然界は良く出来ているなあ、と感心する。

 林道に出るところにベンチがあり、ここで一服。幸いアンナが水筒を持ってきてくれているので、喉を潤す。ここまで来るのが最初からわかっていれば、私も水を持ってきただろうけれど。

 帰路は林道を下る。林道とはいえ急勾配もぬかるみもある。倒木が平気で道を横切っているところも。何週間か前の強風で倒れたのかもしれない。「なんで私の後ばっかりついてくるの?」とアンナ。「君が山道のエキスパートだからさ」。これは本当である。山で育った彼女はルートの選定とか、実にうまい。海辺で生まれた私とはキャリアが違うのだ。「あっ、ニワトコの花!」。この花はハーブティーになるので、アンナはさっそく採っている。彼女はこういう時のために紙袋を持参。私は山側の斜面をよじ登って、さらに幾房かの花を手折る。「冬に風邪ぎみの時とかに良いのよね。森で採れたのは成分も高いはず。帰ったら乾かすわ」。

 やがて森も尽きると牧草地の斜面に出る。羊の母子が、草地の向こう端を連れ立っていそいそと登り、木の陰に消える。我々の接近を認めて子供を保護したのかもしれない。その愛らしい後姿は我々を微笑ませるのに充分であった。


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